アニソンライブ研究家(?)の調査報告

こんにちは、ばやし(@45bayasshi)です。1年ぶりの記事です。
テーマは「今年の思い出」です!
私事ではありますが、今年は半年ほど無職をしており、人生の夏休みが如く自由時間が非常に多く、話のネタに困らない年でした。ですので本来であれば、無職ならではのあれやこれやについて書くべきかなとも思ったのですが、自分の中でコンテンツ化するのはまだ早いなと感じたので、前回の記事のような調査報告を書いてみようと思います!
調査の対象はアニソン系のライブイベントです
私自身アニメが好きで、アニソン系のライブイベントにはよく行きます。今年は8つのライブに行きましたが、その中でもフェス系(複数のアーティストが参加する)イベントについて、どんなものであったかや印象に残ったことなどを報告させていただきます
ライブと言えば、ライブ開始前のイベント、物販、ライブの演目、会場による体験の違いなど書きたいことは山ほどあるのですが、事細かに伝えようとすると、とてつもなく長くなるので、伝えたいポイントを絞って書きます。また、出演者はミュージシャン、アイドル、声優等々いますが、個別に言及する場合を除き、アーティストで統一します。
Aniplex 20th Anniversary – THANX –
(以下、アニプレックス)
概要
2003年に設立された株式会社アニプレックスの20周年を記念したライブエンターテインメントイベント
人気作品の主題歌勢ぞろい
人気作品でライブができる、ということは(基本的には)主題歌を歌っているアーティストを呼べるということです。「え、人気作品を集める(=人気アーティストを集める)の普通やん」と思う人がいるかもしれませんが、これができるアニソンフェスはほとんど存在しないのです。
例えば出演アーティストをざっくり「1:幅広い人気のあるアーティスト」「2:特定層に強いアーティスト」「3:これから売り出したいアーティスト」の3つに分類したとします。観客側の都合のみを考えれば「1>2>3」の比率であるとが盛り上がりやすそうですし、行ってみたくなりますが、実際は「2>3>>1」のように、「1」はかなり少ない傾向にあり、基本的に「2と3でいかに楽しい空間を作るか」の勝負をやっているように見えます。
そういった状況にある中で、このイベントはまさに「1>2>3」で構成されており、曲数は少なめではありますが、量より質を体現したライブになっていたのかなと思います。質というところでは、各アーティストの歌が上手いことは当然として、人気作品であればほぼほぼ視聴していますので、アニメを見ていた当時の思い出が頭の中を駆け巡ります。耳で身体で感じる音と脳内の思い出がないまぜになり、心が満たされやすいことが人気作品の強みかなと思います。
アニメ映像は当たり前
アニソン系のライブでは、アーティストが歌うバックでアニメ映像が流れることがありますが、これもライブを通して一部の楽曲のみであることがほとんどです。
そこについても、アニプレックスはちゃいます。逆にほとんどアニメ映像付きでした。しかもそのどれもが、このイベントのために再編集されたもの、です。
なんて贅沢な!!
カラオケでアニメ映像付きで歌えるとテンション上がる感じでしょうか(弱い)
4000円のコース料理の内容が、8000円くらいのクオリティだった時のような感動でしょうか(?)
いい例えが見つかりませんが、このイベント全体を通してアニソンというよりアニメが主役を感じ、アニメ好きな私としては、そこにグッときました!
声優の本気
セットリストのところどころに、”朗読”とありますが、これは声優さんによる生アフレコでした。声の迫力や映像に負けない演技で会場を飲み込む、まさに領域展開🤞がそこにはありました。とこいうか、コレだよ!コレ!!となりました。よくある言語化できていないけど、真に顧客が求めていることを当てられた気持ちになりました!
アニソンイベントに行くと、声優をベースに活動している方もよく出演されているのですが、そのパフォーマンスが、個人的には少し物足りなく感じてしまうことがよくありました。ライブ(特にフェス系)の主目的は楽しい場であると思うので、別にパフォーマンスがよくなくても、場が盛り上がればOKであるとは思いますが、その良し悪しが問われなさすぎて、もはやその人物が立っていさえすればいいんだ!が行き過ぎてもんにゃりすることがありました(アーティストがそこにいれば幸せや、ノレればOKを批判するわけではないです)
そんな中で、このイベントの生アフレコを聞いたとき、声優さんが本当にカッコよく見えました。本業だからそらそうよ!って話なのですが、生アフレコには収録の様子を見るのとはまた違った臨場感もあり、演出も相まっていつの間にか見入っていました
これが、声優の正しい使い方だ!!と見せつけられた気持ちになり、リスペクトの気持ちが再燃しました。
その他
アニプレックスの20周年記念ライブということで2025年はなさそう?なので、2024年の映像を気軽に見ることができるサービスが欲しい!&次回があればまた行きたいです!!
Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-
(以下、アニサマ)
概要
2005年から開催されている、世界最大のアニソンイベント 毎年真夏の3日間(金土日)、さいたまスーパーアリーナにレーベルの垣根を越えて、50組以上のアーティストが集結する(今年は派生イベントとして、上海で開催されたものや、バーチャルライブ(V神)もあったらしい)
補足
私は2015年から毎年参加しており、3日間のうち1日は友人と4人で参加しています。それ以外の曜日は1人で行ったり行かなかったりですが、今年は1日目に1人で、2日目に友人と参加してきました
感動のDay1
Day1に行く予定はなかったのですが、この1週間前に開催されたオーイシマサヨシの単独ライブに参加した結果、ライブ熱が上がって行くことにしました!(これが無職の瞬発力)
*毎年金曜日は土日に比べて満席になりにくい傾向にあるので、1週間前でもチケットが取れたりします
結果大正解
1曲目から「勇気100%」王子(キスマイ宮田くん)の有効活用、ここ数年のガールズバンドアニメブームを象徴する「トゲナシトゲアリ」「Ave Mujica」、覇権とは行かないまでも話題性のあった「ひきこまり」「このすば」「豚レバ」「魔法科」、でんぱ組による「メモリーズ・ラスト」のカバー、会場大合唱の「DANDAN心惹かれてく」、「ワンピース」主題歌3本立て、待望の初出演となった「Aimer」、コラボで「Butter-Fly」(25周年イヤーのデジモン回収)、アーティスト活動10周年で特別演出の「大橋彩香」、出てくるだけで盛り上がる「オーイシマサヨシ」、8回目の出演で初のトリとなった「i☆Ris」
総じて、新旧両世代のアーティスト、話題性の取り込み、サプライズ、世代を貫通できる鉄板のアニソン、アニサマならではの演出、このバランスがかみ合っており、多様になっていく観客の世代や嗜好に対して総取りしようという高い志が上手く行ったようにみえて感動しました
虚無のDay2
1日目の余韻がさめやらぬ中、2日目を迎えました
「内田真礼」と「平野綾」のコラボから始まり、その後平野綾が「Lost my music」「God knows…」を披露し会場ボルテージは一気に上がりました。私自身も楽曲の懐かしさもあってテンションは早くも最高潮、一緒に来ていた友人にもう帰ってもええわ!と冗談交じりに話していたのですが、ライブ終了後の気持ちとしてはあの時帰ってもよかったかもでした
何があったのか。それを言語化することで浄化し、2025年を気持ちよく迎えることとしたい
セットリストの4曲目、5曲目にそれは訪れた
(念のためアーティストの問題というよりは、セトリを仕掛けた側と受け取った私の問題です)
まず初めてみるかつ興味のないアーティストでした。それだけであれば、様々なアーティストが出演するフェス系イベントではよくあることで、「ちょっと小休憩かな」や「こういうグループもいるんだな」で済んだのですが、これがまた「とにかく長い」。正確には忘れましたが「3グループのメドレー+紹介動画+全員の自己紹介(キャラ多くわちゃわちゃ)+全員で歌唱」と盛りだくさん(謎の好待遇)で実際よりも非常に長く感じたのを覚えています。5分のお目当ての動画を見ようとしたら広告が15分くらいあった、と言えばわかりやすいでしょうか。そのくらいの退屈さ加減でした
ロケットスタート切ったはずのDay2はこの時点で早くも”虚無”になっており、以降最後までライブに熱中することはなく、どちらかというと俯瞰した時間が続きました。ここでいう俯瞰とは、目の前の事物(ライブ)ではなく、頭の中の考え事に集中してしまっている状態のことです
何を考えていたのか?
例えば「会場の照明は自動かな?そういえば幼馴染がライブの裏方で照明を手動で操作する仕事をしてたな」とか「今年のアニサマ2日目に友人と行くことにした理由は、私が転職する可能性があり先が読みづらいから比較的参加しやすい土曜、という決め方をしたため友人に申し訳ない気持ちになった」など、どう考えてもライブ中に考えることじゃ無くね?ということが脳内を駆け巡っていました
また、アーティストの「アニサマ盛り上がってるか~?」というコールに対し観客が「おぉー!!」と返すことはお約束となっているが、それって「”この会場は盛り上がっているんだ”、”楽しい場なんだ”、”アニサマ最高だよね”という”共同幻想”を創り出しているんだな」と気づき、さらには今回自分の中に”楽しい”が伴わなかった影響で、お約束のコール&レスポンスが形だけで中身がないことに実感が持ててしまった結果、このイベントが急に「胡散臭いなにか」に思えて虚無なり、熱中のきっかけを掴めなくなってしまったのではないかな、と今になって思います
もちろん「Mygoのパフォーマンス見れて嬉しい」とか「鈴木このみがThis game歌ってくれて嬉しい」という”瞬間的な喜び”はいくつかありましたが、「楽しい空間、時間になっていたか?」という”継続的な喜び”があったかと問われると、答えはNOでした。
虚無化対策
ライブ中に虚無を感じてしまったことを告白したところで、同じ轍を踏まないために、どうすればよいかを考えたい
前提として、アーティストはエンターテイナーではないのです(一部例外はありますが)
アーティストとは表現する人です。そのパフォーマンスが、観客の琴線にふれるかは別問題
ですので、この人のパフォーマンスが「絶対に見たい!!」と思うアーティストが出演している(多ければ多いほど良い)日に参加すると良いのかなと思います(見てみたいレベルではなく、絶対見たい!がポイント)
絶対見たいアーティストがいれば、虚無になりにくくもなるし、虚無になってしまった後でも、心に火をつけてくれる可能性が高い。そのアーティストをお目当てにしつつ、見てみたいアーティストの上振れを期待する、がアニサマの楽しみ方の一つなのかなと思います
もしかしたら何を当然のことを、と思われるかもしれませんが、上述の通り私は行きやすさで日程を選んだ結果、虚無を体験したので(目的のないアニサマ参加を否定するものでもないですが)お目当てのアーティストがいる日程に行くことを推奨したい
補足
そもそもの話として「アニサマのターゲット層について」や「多様化するアニメと一つのイベントで価値を出すフェスのズレの問題」等あるが、アニメを知らない人によりわからない話になるし、エンタメっぽくならなさそうなので割愛
その他
色々書きましたが、2025年は20回目となるアニバーサリーイヤーです。2014年の10回目のアニバーサリーは今見返しても本当に素晴らしかったライブだと思っていますので、期待しています!!
ANIMAX MUSIX 2024 FALL
(以下、アニマックス)
概要
「ANIMAX MUSIX」は「アニメミュージックの魅力を世界へ」をコンセプトに、2009年からスタートしたアニメミュージックイベント(年2回春と秋に開催)。15周年を迎えた今年の春に開催した「Lemino presents ANIMAX MUSIX 2024 SPRING」につづき、2回目の共催となる「Lemino presents ANIMAX MUSIX 2024 FALL」は、横浜アリーナで開催された。
ライブは6時間(直近では押して7時間)にもおよび、アニソンフェス系のイベントの中では最長クラス
「6時間て長くね?」と思われるかもしれないが、体感としてはすごく短く感じられます
その理由は「単にアーティストが持ち歌を披露するだけではない」など盛り下がりにくくする仕組みが随所にあるからです。ここではその仕組みに着目することで、他ライブとの比較としたい
幕間の圧縮
例えば、アーティストAのパフォーマンスが終わった後にアーティストBに切り替わる。その際、通常であれば会場が暗転し静まる時間が訪れるのですが、アニマックスではこの時間がほぼ存在しない。パフォーマンス終了後間髪入れず、期待感を煽るジングルと共に「NEXTアーティスト〜○○!!」といったアナウンスが入り、次のパフォーマンスが始まる。後述するセクション内であれば、すぐ次のパフォーマンスに切り替わるなど、観客に落ち着くタイミングを提供しない。
アーティスト一人一人のパフォーマンスの集合という意味では他のライブと同様ですが、この仕組みにより、一つの大きなショーを見ているような感覚になります。
ちなみに、前半と後半の間に休憩時間がありますが、そこでも楽屋裏を紹介するイベントがあったりと、仕掛ける側からのこれでもか!というギブを感じます。
セレクション
各セレクションがセットリストの至る所に設定されており、盛り上がりに拍車をかける。このセレクションのテーマやコラボ案、楽曲は事前に募集したリクエストの中から選ばれており、出演アーティストがカバーする形で、観客の「聴きたかった」に応えるものになっています。
参考までに今回のアニマックスのセレクションは以下の通り
(公式HPにセットリストがなかったのでここに書く)
セレクション一覧:曲名(歌手)/カバーしたアーティスト
- 声出せ SELECTION PART①
- You &Me(田村ゆかり feat. motsu from m.o.v.e) /ASOBI同盟
- Bling-Bang-Bang-Born(Creepy Nuts)/ASOBI同盟×MADKID
- FAN SELECTION PART①
- Believe(玉置成実)/GARNiDELiA
- ムーンライト伝説(DALI)/鈴木愛奈×Liella!
- 花になって(緑黄色社会)/TRUE×蒼井翔太
- FAN SELECTION PART②
- grilletto(GARNiDELiA)/GARNiDELiA×ASCA
- 晴る(ヨルシカ)/sajou no hana×ASCA
- シュガーソングとビターステップ(UNISON SQUARE GARDEN)/MADKID×内田雄馬
- CHARACTER SELECTION PART①
- 射手座☆午後九時Don’t be late(シェリル・ノーム starring May’n)/大渕野々花
- えとにゃんらん(鈴木愛奈)/同左
- ココロノエデン(明智小衣(cv南條愛乃))/同左
- CHARACTER SELECTION PART②
- 私は最強(Ado)/鈴木このみ×戸山香澄(cv愛美)
- 新時代(Ado)/Liella!
- うまぴょい伝説(ウマ娘プリティーダービー)/ウマ娘プリティーダービー×中川翔子
- CHARACTER SELECTION PART③
- God knows…(涼宮ハルヒ(cv平野綾))/同左(サプライズ)
- もってけ!セーラーふく(泉こなた(平野綾)以降省略)/同左(サプライズ)
今回はこのセレクション構成でしたが、私が以前参加した際は「Fateセレクション」など作品に絞ったものも開催されていました。
往年の名曲や、ヒットアニメの主題歌、時事的に流行った曲など、バリエーションが豊富で、むしろこれがお目当てになっている可能性すらあります。
サプライズ
これはアニバーサリーイヤーだったからこそできたことだと思いますが、サプライズが本当にサプライズしていました。
春に開催されたアニマックスでは、サプライズで登場するアーティストが1人と聞いていたので、秋もそのくらいかなと思いきや3人!!からのエンディング中にもう1人!!と予想を覆すこれぞサプライズの連続で、会場のうねりを感じましたし、こんなにいいんですか!?という気持ちにさせてくれました。
昨今サプライズを演出したのはいいものの、誰も求めていないサプライズで悲しみが広がることも多い中、「まぁこんなもんか」と構えていた観客の度肝を抜く良いサプライズだったと思います。
その他
アニマックスは2024年がアニバーサリーイヤーだったからこその豪華な演出で、非常に楽しかったのを覚えています。来年この上がったハードルをどのように超えてくるのかを楽しみにしています!!
(そういえば、関係者席っぽいところで全力でサイリューム振っている人がいたのだけど、あれは何者だったのだろうか…)
終わりに
オーイシマサヨシの楽曲の中に「エンターテイナー」(Youtubeリンク)という曲がある
この曲は、エンターテイナーに魅せられた人物を描くと同時に、自分もそんな人を喜ばせる、退屈を壊せる存在になりたいというオーイシマサヨシ自身の決意表明にもなっている
これを聴きながら考えていた
私がアニソンフェスに継続的に行くようになったのは「お祭りのような雰囲気が好き」や「いろんなアーティストを一度に見られてお得感がある」が理由だった
しかし、いつの間にかそれだけでは物足りなくなっている自分に気がついた
なぜだろう?と振り返ると、答えはすぐに見つかった
アニソンフェスがきっかけで、様々なライブに行き、そこでエンターテイナーに出会ってしまったからだと
”エンターテイナー あんたのせいだ”
つまり、すべての元凶はオーイシマサヨシ!!
おあとがよろしいようで